LP(ランディングページ)は昨今何か商品を販売する際には一番適した形です。何か商品・サービスを売ってる縦長のページ、と言われれば普通の人でも「ああ、アレね。」と思うのでないでしょうか。
楽天の販売ページもLPと呼べるものが多いですね。高級そうなお肉を蟹を販売しているところで多く見ると思います。肉汁じゅわーみたいな。笑
昨今だと物品販売だけでなく、企業の新卒募集ページやエステの無料体験など、キャンペーン的なページでもLP形式で作られていることが増えて来ました。
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購入してもらう・応募してもらう、といったゴールが明確なページを作る際には、目線が上から下にシンプルに流れていくので、他によそ見をすることが無くとても良いのですよね。
一方で楽天の販売ページなどを見ると感じるかと思いますが、決してオシャレではないLPを見ることも多いと思います。LP = ダサい・モサい・胡散臭い みたいなイメージを持つ方もまだまだ多いことでしょう。
では、なぜLPは今までそんな悪いイメージを持たれてきたのでしょうか。
売るためにはデザインの前に文字情報
それには商品を売る際、下記のどちらの方が売れやすいのかという話がベースにあります。
- デザインは綺麗。商品説明は少ない。
- デザインは正直ダサい。商品説明たっぷり。
僕はwebデザイン提供してます!という側の人間なのでここは前者でやっぱりデザイン一番!と言いたいところなのですが、実際は後者でまずはしっかりと商品説明がされていることが売るためには重要です。
ここで一つ実際によくある話をしておきましょう。
元々店舗で商品販売をしていた会社さんが、webでも展開していこう!という方針になりました。しかしweb製作にかける予算はあまりありません。
そこでお手製webサイトを作ることになります。サイトのデザイン自体は素人なので綺麗なとは言えませんか代わりにしっかりと熱意を込めて商品の説明を書いていきます。
その後広告運用なども頑張った結果、web経由の売上も増え、そのキャッシュを使い、お手製で作ったサイトをプロのweb製作会社に依頼し綺麗に作り直してもらうことに。
普通ここまで話を聞くと、それによりさらに売上が倍増!みたいな話に聞こえますよね。
しかし、必ずしもそうはならず逆に売上が落ちてしまい、結局元々自分が作ったサイトに戻しちゃう、なんてことがあるのです。
web製作会社の仕事の基本は綺麗なサイトを作ること、決して売れるサイトを作ることが仕事ではないんですね。
これは決してweb製作会社に依頼しちゃダメですよ、という話ではありません。もちろん理想はデザインも綺麗でかつ売れること。でもその両立は難しいということをまず知っておきましょうというお話です。
そしてその両立ができない場合、ダサかろうが売れる方がマシ、という状態になっているサイトが昨今まだまだ多いということです。
デザインを綺麗にして売れなくなるケース
ではなぜ、デザインを綺麗にしたのに売れなくなってしまうなんてケースが出てきてしまうのでしょうか。
これは色々と理由はありますが、まず簡単な理由として、一番楽にデザインをオシャレっぽくする方法は文字を減らすことだからです。
それこそブランドのサイトを見るとほとんど文字がなく、メニューも英字で、読ませるというよりデザインに溶けこませていることが多いですね。
我々はざっと見でスクロールしている時にも以外と文字を無意識化でも読んでいます。そしてそれが購買の判断の大きな材料となっているんです。
それをそもそも省いてしまったり、デザイン性を重視して読みやすさを放棄することでその重要な材料を削ってしまうのは残念としか言えません。
例えばこれなんかも、一見綺麗で見やすそうだけど可読性が下がるデザイン配置ですね。(矢印は目線の動きの解説)
このようなボックスを横に並べるようなデザインは綺麗に見えますが、人間の目線の動きを考えると内容をスルーしてしまうことが多いです。
最近はスマホで縦に並んだ情報だけを見る機会も増えたので、余計に横に目線を動かす人は減っているかもしれませんね。
さらにこのデザインにする際にボックス内に文字量を収める必要が出てきて、必然的に文字数を減らすことになります。
この例以外にもデザインの整合性を保つために自然と文字を減らしてしまう、なんてことが多くそれがコンバージョン率の低下に繋がることが多々あります。
絶対に横に並べちゃダメ!ということではないですが、この文字情報はしっかり読んでもらいたいという部分に使うのは不適当だと言えます。
最近は世間的にLPの制作案件も増え、これぐらいのことはLP専門でないデザイナーさんでも意識してくれることが多いと思いますが、結局良いデザイナーさんに出会いを引きを持ってるかどうかかなってところです。
多量の文字とデザインのバランスを取るのは難しい
上記の例を見てわかるとおり、文字情報とデザイン性の整合性を取ることの難しさが多少なり想像していただけたかと思います。
これはLPだけでなく、紙の媒体でも度々話題に上がる問題だと言えます。よくwebで話題に上がる話だと「日本の映画ポスターはダサい」問題があります。
君の名は。問わず、元々の宣伝ポスターはシンプルでカッコイイのに、なぜその上に「全米が震撼!」「衝撃のラストを見逃すな!」「今までで一番泣いた!」だとか色々書いてデザイン性を殺してしまうんだという話ですね。
なぜそんなことをと言われれば、その方が来場者数が多かったとデータが示しているから、というシンプルな理由なのでしょう。
こんな映画ポスターや楽天系LPはデザイン性を犠牲にしつつも低コストで効果(売上)が出せるフォーマット・テンプレートです。
作ってる側もそれがデザイン的に美しくなくなってしまうことを惜しく思いつつ、限られた予算や時間の中でまず売れなきゃ意味がなく、こうなってしまっているのでしょう。
ただそれだけ文字情報というのは購買に大きく貢献していると証明する例でもあります。
この点に関してはこの記事書いたのと同時期に似た話題が盛り上がってたようなのでこちらも併せて。
まずは売ることが大事。そのために自分で書く
実際問題、商売であればダサく見られてしまうことより、売れないことの方が問題です。まずは商品が売れなければ意味がありません。その為にはまず文書、まずライティングです。
半端な予算でweb制作会社に小綺麗な売れないサイトを作るぐらいだったら、自分で編集できるサイト製作ツールを使い自分で文書を書き、Facebook広告やリスティング広告など、広告費に予算を全投入する方が良いでしょう。
自分で作るなら、広告効果を見た後の修正・追加もいつでもできますからね。
当然の話ですが購買率が0.5%と1%のLPだと、売上が倍変わってきます。1000万円の売上が2000万円に変わるわけです(!)
だから大手はここに予算をかけるわけですが、誰もがそこまで制作費用はかけられません。では予算かけられない場合やテストマーケティングの場合に、どう節減するとなるとできる限り自分で制作してその分広告に回すというのが良いでしょう。
売ることだけを考えればデザインよりライティングですし、ライティングは少なからず自分がやることですから。
一方で、ライティングも含めLPを安く作ります!という製作会社もいくつか見たことがありますが、文書の品質を見ると安さ相応で、あんま売れないだろうなというところがほとんどです。
あれは自社が気合入れて売る商品に対して製作依頼するものじゃなくて、ある程度リピーターがいるなど、説明なしでも売れる商品の際に依頼するものというかんじでしたね。
高い会社に依頼すれば何も書かずに済むのか
では高い制作会社にお願いすれば、ライティングも含め全部丸投げできるのでしょうか。
数億単位の売上を狙う大企業はLP製作専門の製作会社にライティングまでトータルに依頼し、そこには数百万円の予算がかけています。
僕もそこまでではありませんが、そこそこ有名なLP制作会社さんへ発注者として仕事をしたことがあります。
でもその時は全く丸投げではありませんでした。確かに自分で直接LPの文書を書くことはありませんでしたが、ヒアリングにかなりの時間がかけられました。
試行錯誤して云々というのは内々でやるから許されることで、LP製作のプロが高額の費用で制作をするとなると基本一発で売れるLPを作る責任が伴ってきます。
だからこそ、「適当にそっちで書いてよ」と言われてもそうは出来ないんですよね。そこが売上に直結するものだとわかっていますので。
実際の手順としてはヒアリングシートみたいなものに記述することも多く、その項目数が数十に及ぶのが当たり前だったりするので、必ずしもライティングまでしてくれる=丸投げってことでもありません。
例えばこんなことが聞かれるわけです。
- 他社との差別化ポイントは何ですか?
- この商品の一番の売りは何でしょうか?
- この商品により「こう変化する」という事例はありますか?
- 過去の商品と比べ、どこが一番の変化でしょうか?
- 今回の商品を開発する動機はなんでしょうか?
- すでに商品を利用されている方は、どの点を一番喜んでいますか?
- ..etc
もちろんそのヒアリング力含めのサービスなわけですが、正直「ここが具体的に言語化出来てたらもう自分で書くよ!」ってぐらい聞かれます。笑
とにかくそれぐらい労力を割く大事な部分と改めて認識する機会でしたね。
予算がどこまであっても商品の魅力を一番知っているのは発注側なわけで、それをイタコのように口寄せして自動書記してくれるなんてことはありません。
売れるLPを作りたいという以上、どんな形であれまず書くことが求められるのです。
デザインは必要なのか。
売るために一番大事なのはライティング。商品説明なしにオシャレなデザインだけで売れるのはすでにいわゆる知名度がある商品だけ。
大企業ならある程度体裁を作るためにもデザインは必要なのはなんとなくわかる。でもそれなら個人や中小企業はもうデザインなんて考えなくて良いのでしょうか?
この点に関して僕が今感じている風潮は、二極化です。
- ライティングだけ頑張ってデザインはポイントだけ抑えて超最低限
- ライティングもデザインも頑張る
ライティングは両者とも頑張っていますが、デザインは取捨選択が極端、それが今の時代です。
デザインに拘らなくても、売れているのであればそれならそれも正解の一つかもしれません。売上だけを考えればデザインが必須では無い時代になってきているのは確かです。
ただライティングだけの会社もただ単に手抜きをしているわけでもありません。その分ライティングはそれなりに得意だったり、広告運用が得意だったりと。
またその中でもデザインなしで大きい売上を出している会社が行っていることがあります。
それはコミュニケーション。ユーザーとの信頼関係の構築です。
スマホの普及に始まり、Facebookやメールマガジン、LINE@などのツールが増えることにより、ユーザーとのコミュニケーションコストは下がってきています。
そしてユーザーにその商品に対する価値を正しく伝えていれば、極論もはや綺麗なデザインが無くとも成約するようになってきたのです。
でもwebでのコミュニケーションは多くの場合テキストによるもの。それはあくまでライティングの延長に過ぎません。
コミュニケーションにより、デザインの役割の一部を代用できるようになったけれど、すべてをカバーできていないというのが僕の考えです。
ではまず、デザインとコミュニケーションの両方が持っている効果とは何でしょうか?その話の後にデザインしか持っていない価値を話せればと思います。
デザインとコミュニケーションは信頼関係の構築。
まずデザインの側面から考えてみます。良いデザインの効果とは何でしょうか?一般的に言われる言葉だと、「デザインはブランディングである」みたいなものがあります。僕もデザインの一番の力はこの"ブランド"を作ることだと思います。
ブランドって服とかのやつでしょ?ブランドなんて無くても売れれば良いよ、という方も多いかもしれません。しかし、まずここで言うブランドとは主に「信頼関係」を指します。
ユニクロの服であれば安いけど品質が担保されているであろう、みたいな感覚はまさにそのブランドによる信頼関係ですね。
高いデザイン性はそんな信頼関係を生みます。例えば高級な成分が入った化粧品が、100均で売っているようなプラスチック容器に入っているのか、ガラスの美しい装飾の入った容器に入っているかでは圧倒的に後者に信頼性があり購買に繋がりやすくなります。
そんなデザインの信頼感は、どれだけ商品が優れているかを長文で語り尽くしても得られるものではありません。
またその一方、そんなデザインの力を借りずコミュニケーションの力で信頼を作る会社は、ユーザーと定期接触することでこの信頼関係を作っています。
いきなり飛び込みできた営業マンがどれだけ商品の良さを説明しても、信頼には繋がりにくいものです。
でもすでに何度も交流があり、この人の商品なら大丈夫という関係性があれば、それもまた何千文字の商品説明よりも価値があります。
最近目にすることの増えたクラウドファンディングもこの仕組みですね。まだ商品自体すら出来ていないものに対し、その人がそれまでのコミュニケーションで得てきた信頼を価値に変換しているわけです。
このように、デザインもコミュニケーションも、LPのライティングだけでは得られないユーザーとの信頼関係を作り上げています。
最近ではデザインではなく、コミュニケーションによる信頼関係の構築がインターネット上では一種流行りとして注目されることが多いです。クラウドファンディングしかり、SNSで情報発信しよう!みたいな話ですね。
もちろん情報の伝播力が高まり、コストも下がってきた今コミュニケーションを培うことも重要です。
しかし、コミュニケーション的なマーケティングとデザイン的なマーケティングは、信頼関係の構築など重なる領域はあれどやはり別物です。
どちらの方が優れているという話でなく性質の違いですが、コミュニケーションを取れているからデザイン不要という考えは短期的な目線だと言えます。
それではデザインしか持ち得ない価値とはなんでしょうか?
デザインしか自己価値・未来を示せない
それは先に書いた「ブランド」のもう一つの効用です。
それは自分がどんなブランド感のものを使っているのかという自己価値を与えることです。
僕はライティングやコミュニケーションの力で商品が売れようが、ダサくイケてないデザインのLPで商品を売ることは根本的に良いことだと考えていません。
なぜなら、購入者に対して自分はそんなダサい販売ページで売っている程度のものを使っている人間だ、という認識を与えることになるからです。
商品購入者に良い自己価値を与えることは、商品の機能と同様か、それ以上に重要なことにもなりえます。
別の言い方をすれば、どんな気持ちでその商品・サービスを使って欲しいのかを伝えることとも言えます。
良い商品を提供していると自負している以上、それに見合ったブランド感を提供するのも販売者の責任です。
どれだけ優れた商品だと理屈でわかっていて、販売LPページもダサかったら、意識せずともその程度の商品を使ってるという気持ちになるものです。
ブランド品のバッグやネクタイだって、ドンキホーテで買うのか直販店で買うのかで、商品をどれだけ大事な扱うか、またそのアイテムにどんな服を合わせようかという気持ちが変わります。
LPのデザインも同様に、この商品を購買することを通して、あなたにこう変わって欲しいんですよと無意識化でメッセージ伝えるツールなのです。
それって売上に関係するの?と思われるかもしれませんが、長い目で見るととても大きく関係する要素です。結局そのデザインが発するメッセージに反応する方があなたの商品を購入するわけですので。
あなたが伝えるブランド感によって購買層も変わります。それはすなわち顧客単価も変わるし、クレーム率も変わるし、継続率も変わるということにも繋がっていきます。
それは必ずしもきらびやかなハイブランド感を出す必要があるということではありません。例えば地域密着的な商品であれば綺麗さよりも親しみやすさの方が大事でしょう。
ブランドという言葉を見るとキラキラ感を想像しがちですが、下町の古くから続く饅頭屋さん、みたい雰囲気も一つのブランドです。
どんな方向性であれ、こんなお客さんに来て欲しい、そしてお客さんにこう変わってほしいと、直感的に無意識下で伝えること、それがデザインにしか出来ない大事な役割です。
それは必ずしもすぐにわかりやすく売上に直結しないかもしれません。実際デザインが微妙でも売れている商品はたくさん見てきました。
でもデザインに疎かにすることは、段々と提供者と購入者がそれぞれ求めている認識にジワジワと歪みを生んでいくことになります。
強者のLPと弱者のLP
長々と書いてきましたが、そろそろまとめを。
ただ売るだけでなく、本当に価値あるものを届けるLPを作るのであれば、ライティングもデザインも両方が必要だというのが本記事で伝えたいことです。
その際に最後に話をしたいのが、「強者のLPと弱者のLP」という視点です。
まず元々、LPというのは弱者のための戦略でした。インターネットでターゲットを絞った人にだけ刺さる販売ページを作り、テレビで有名なあの商品に勝とう!というものですので。
そう、僕らはどんな商品を売るにしても、テレビや雑誌などマス的な展開をするのが正解・強者だと心の底で思いがちです。テレビ番組に取り上げられるだとか、本なら10万部売れるだとか、とにかくたくさん露出して、たくさん商品が売れることが正解のように感じてしまいます。
インターネットが最近どんどんと身近になり、新たなマス的存在となりつつあるため、結局マスが勝者なんだと、改めて余計に感じやすくなっています。
でも元々インターネットでモノや情報を届けるメリットは、ターゲットを絞って必要な人にだけ届けられるということです。
さらに言えば、これからはあえて絞ってより切れ味を鋭くする時代です。ターゲットを絞り、なおかつ絞ったからこそマスではできなかった新たな世界観を作っていくという、新たな強者の戦略としてLPを作り込む会社が出てきているのです。
そんな強者のLPを作る上で重要となるのが、今回書いてきたライティング&デザインの両軸の調和です。これはただこれまでのLPがちょっとオシャレになってきた、ということでは無く一気に反転した立ち位置にあるんですよね。
同じLP制作なはずなのに、片方は弱者としてもう片方は強者して。気がつけばそんな格が両極端に分かれていました。
かといって強いから良い、弱いからダメということではありません。
予算が少ないなら弱者の戦略としてとにかく予算を削ったフォーマットを作れば良いですし、予算があるなら強者の戦略として競合他社が現れないぐらいぶっちぎった世界を作っていけば良いだけの話。
そんな違いを認識し区分した上で、自分がどちらかを選択した上でLPを作り始めてみてはいかがでしょうか。
少しでもこの記事が参考になりますことを。
デザインに関してまた別の角度から見るためにはこちらの記事もどうぞ。