毎年「今年はどうすっかなー」と言いながらなんだかんだ行っている六本木アートナイト、今年も行ってきました。個人的に楽しみにしていた、たこ焼きシーケンサー(何を言っているのかよくわからない)が時間の都合で見れませんでしたが、ここ数年の中ではだいぶ満足した年でした。
六本木アートナイトは、3.11の大震災があった2011年には中止され翌年以降も震災復興というメッセージ性が強い作品が多かったように感じています。
ただ今年はその色がだいぶ無くなったきた印象がありました。こんな展示数年前だったらできなかったんだろうな、という直接的なものから、間接的なテーマとしても「破壊」を伴う作品が出てきていました。
ただそれは、そのような物事をもう忘れてしまった、というエネルギーではありません。あれから数年、安心や安全を意識し社会は回ってきたように感じていますが、それだけでは世の中回らない部分がある、という感覚です。
「このままではダメだ。」という感覚が、社会の中で産まれてきており、ではどうすれば良いのかというと、破壊と言うと大げさかもしれませんが、まずは物事を手放すという必要が出てきたよう感じます。
新しい作品というのは、その社会の兆候を写す鏡ではないのかなと。
これまでの作品は、元々あった作品の上に震災というテーマが乗せられていましたが、今はそれは大前提のテーマとなり、そこに何を乗せるか、ということを考える時代になってきたということです。
それと関連することで、先月あった「デザイン・コードSP」という番組の中で、オリンピックの卓球台に関する制作秘話がありました。
この卓球台、TVで試合を見ていて「すげーカッコイイなー」と思っていたのですが、実はこれも震災からの復興というのがベースのテーマにあるのです。
使われた木材が被災地のものということもありますが、この一見「X」に見える台の形は実は「支」という漢字を表しています。ただ良い意味でそれがわからないぐらい格好いいデザインなのですよね。
ここ数年の世の中の作品は、支えるといったテーマと作品自身があまり組み合ってないように思うところがあったのですが、その辺がかなりかみ合ってきた2016年を最近は感じています。
そんな時代、その上に新しく乗ってきたテーマが「破壊と再生」というのは非常に面白いなと考えることのできる六本木アートナイト2016でした。
来年もなんだかんだ行くのかなー。